保護猫と私

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つらい不妊治療

2011年6月、妻と結婚しました。あれから、早や10年以上が経ちます。

結婚して数年は価値観の違い、男女の文化の違いなどで小さな夫婦喧嘩はありましたが、離婚危機を招くこともなく今も仲良く夫婦生活を営んでいます。ただ、結婚して10年以上経ちますが、私たち夫婦は子宝に恵まれませんでした。

2013年から不妊治療を開始しました。治療開始当初は互いの体質改善などから始め、治療開始数年後に念願の妊娠をすることができたのです。この時の妻の喜びようは、今も忘れられません。ただ、喜びも束の間、子供の心拍が停止してしまい、流産してしまいました。

それでも、私たち夫婦はめげることなく不妊治療を続けたのですが、2度目の妊娠は子宮外妊娠、3度目の妊娠も流産となりました。悲しむ妻に私は何も言ってやれませんでした。そして、不妊治療7年目に、私たち夫婦に追い討ちをかける出来事が起きてしまいます。

子宮体癌。

妻の落ち込みようは、見ていられませんでした。私も、「大好きな妻が死んでしまうのか?」と、人知れず泣く日々となってしまったのです。それから、不妊治療ではなく癌との戦いが始まりました。

不妊治療も癌治療も、私たち夫婦の心身を蝕んでいきます。子宮体癌が発見されてから3年のうちに妻は10度の手術(入院)を受けてきていますが、それでも、会社に勤めつつ妻は今も癌と戦っています。

本来、子宮体癌の治療は子宮を摘出するしかないのですが、幸い早期発見だったため子宮を温存しつつ、ホルモン剤で癌を抑える治療が可能でした。だだ、そのためには3ヶ月ごとに手術をし、癌が再発していないか検査する必要があります。子供を諦めたくない私たちは可能性を信じて、妻は今も3か月毎に手術を受けています。しかし、3度の流産、そして、10度の手術。さすがに妻の心身は限界に来ていると、私は妻のそばで感じていました。

ペットを飼うことを提案

元から動物好きだった私たち夫婦。私の実家では犬を、妻の実家では猫を飼っていました。以前からペットを飼いたいと話していたのですが、お互い仕事が多忙なためペットを飼うことに躊躇していたのです。ですが、2020年、コロナショックが起きました。

私の勤務先は2020年3月から在宅勤務となり、アフターコロナでも勤務形態は在宅勤務となるため、私が常にペットの世話ができることになったのです。そして、半ば強引に「ペットを飼おう。犬でも猫でもいいから、今週末、ペットショップに見に行こう。面倒は俺が見るから。」と妻に言いました。すると、妻から意外な提案が。

「飼うなら保護猫がいい」

私は、恥ずかしながらペットはペットショップで血統書付きの動物を買う(飼う)ことと思って生きてきたので、この時初めて保護猫(保護犬)のことを知ったのです。聞くと妻は、以前からペットを飼うなら保護猫と決めていたそうです。

保護猫の里親になると決まってから、妻が活き活きしはじめました。

私の人生を変えた猫と本

hugu(ハグー)というペットの里親募集サイトを熱心に見ていた妻ですが、ここで運命的な出会いをします。私たちの愛猫「こてつ♂」との出会いです。

ペットを飼うときは、基本的には子猫(子犬)が人気であっという間に里親が決まったりするのですが、妻が気に入ったのは生後6か月以上経つ「こてつ(キジトラ)」でした。こてつを保護している方は埼玉県坂戸市と越谷市からは少し遠方だったのですが、早速見に行ってみることに。

聞くと、こてつが公園(埼玉県毛呂山町)で保護された時は他に2匹いたそうなのですが、その2匹はすぐに里親が決まりこてつだけが残っていたのだそうです。けど、そんなことは全く関係なく、妻はこてつとの出会いがとても嬉しそうでした。

こてつを迎えることを決め、早速、ケージなど必要なものを全てアマゾンなどで買い揃え、こてつが来るのを今かいまかと心待ちにしました。

笑顔、戻る

我が家にこてつが来て、妻はとても喜びました。妻の満面の笑顔を見るのは本当に久しぶりで、私も本当に嬉しかったです。企業に勤める妻は癌と戦いながら毎日深夜まで働いていましたが、こてつが我が家に来てからは早く帰ってくるように。そして、妻の唯一の趣味であったスノーボードにも出かけるようになり、妻本来のアクティブさと明るさを1匹の保護猫が我が家にもたらしてくれたのです。そして私は、こう確信するようになりました。

動物は人を幸せにする。
人も動物を幸せにする。

殺処分をする国、日本

世界中の保護動物のことを知りたくて色々な本を読む中で、とても興味深い本と出会います。

この本によって日本が未だに殺処分していることや、欧米諸国と比べ動物福祉国家としては我が国はかなりの後進国であることを知りました。また、日本で行う動物殺処分の惨さを知り、なんとも言えない複雑な心境になりました。

「我が家に笑顔をもたらしてくれた猫が、毎年3万匹以上殺処分されている」

同時にこの本で保護猫カフェや保護猫シェルター、保護猫譲渡会などの存在も知り、私の人生が大きく変わり始めます。

ガス室に入れられ殺処分を待つ動物たち。自分達はこれから死ぬのだということを知っているそうで、ブルブル震えるのだそうです。我が国日本は炭酸ガス(一酸化炭素および二酸化炭素)を使って動物を殺処分するため、動物たちは糞尿を撒き散らしもがき苦しんだ末絶命していきます。そして、絶命後はコンベアに乗せられ焼却室に運ばれていくのです。
PRESIDENT Online 笹井恵理子氏記事▼
「もがき苦しみ、次々とひっくり返る」あなたは犬や猫の殺処分を見たことがあるか

閲覧注意❗️
実際の動物殺処分の動画です。
衝撃的な内容なため、閲覧する際には心の準備をお願いします。


日本のペット事情がわかる本2冊
※ペットを飼っている、これから飼う予定の全ての人に読んで欲しい本です

動物たちの悲鳴が聞こえる/杉本彩氏

奴隷になった犬、そして猫/太田匡彦氏

猫の殺処分ゼロとその先へ

私は、2017年頃からコーチング事業で副業をしてきているのですが、副収入全額を使って保護猫カフェと保護猫シェルターを自分で運営しようと決意。そして、微力ながらも、日本から動物の殺処分を無くす努力をしようと計画を立てました。

そしてはじめたのが、都内保護猫シェルターでの保護猫飼育ボランティアです。また、保護猫カフェや保護猫シェルターを運営するためには資格も必要になるため、家庭動物管理士資格を取得。ちょっとした軽食も提供したいとの願いから、食品衛生責任者資格も取得しました。

猫の殺処分をゼロにするという目標と、日本の動物福祉国家としてのさらなる醸成という大きな目標に向かうため、2022年1月、NPOニャンクチュアリを設立しました。同時に、将来的なビジネス展開のためにニャンクチュアリの商号とイメージロゴの商標登録を出願しました。※2022年7月商標権取得済み

 

様々な保護猫団体、個人活動家を見てきて感じたのは、保護猫活動の世界は寄付やボランティアで成り立っているということ。動物福祉活動ですから利益を求めて運営する事業者はいないのですが、だからこそ収益力が無くギリギリの経済状況の中保護猫活動に励む事業者がほとんどなのです。しかし、保護猫活動とはとてもお金(ヒトモノカネ)のかかる事業です。

なので、NPOニャンクチュアリが自走し続けられるよう、私の副業や今後募集を始める寄付やクラウドファンディングで資金を集めアパレル事業をはじめとし、飲食業、出版業、保険業などへの展開を視野に入れているため、商標登録を出願しました。助ける側が倒れ助けられる側になってしまっては本末転倒なので、そうならないようなビジネスの仕組みが必要なのだと考えています。

猫と人の物心両面の幸福を追求する

尊敬する経営者の1人である稲盛和夫氏の言葉をお借りし、当団体の理念を「猫と人の物心両面の幸福を追求する」としています。先ほどもお伝えした通り、人は猫を幸せにするし、猫も人を幸せにする力を持っています。このことを、たくさんの人に伝えたい。そして、その先には猫の殺処分ゼロがあるのだと信じています。

設立間もない団体ではありますができることからコツコツやり、大きな目標と夢をいつか必ず達成したいと思っています。たくさんの方からの応援が必要となりますので、ぜひ応援をよろしくお願い致します!

NPOニャンクチュアリ
代表理事 齊藤 一清